【美容所届出で意外と盲点?】休憩所の設置ルールと現場のリアルな悩み

サロン開業前に意外と見落とされがちな「休憩所」の問題
アイラッシュサロンの開業準備では、物件探しから内装、採用、集客まで頭と体をフル回転して走り回っていました。お恥ずかしいことに、すべてが初めてのことで気持ちも高ぶっていたのこともあり、ある日ふと「そういえばスタッフの休憩場所をどうするかって、考えていなかった!」と気づいたんです。
「仕切りか何かで簡易的な休憩室でも作るか」と軽い気持ちでいたのですが、まさかその「休憩所」が美容所登録のルールにかかわる重要なポイントだとは、その時は知る由もありませんでした。
美容所に休憩所を作るには“完全個室”が必要
美容所(サロン)内にスタッフの休憩所を設ける場合、じつは完全な個室である必要があります。これは各自治体の保健所が定める「美容所衛生管理要領」に基づいたルールです。
つまり、天井までしっかりと間仕切りされた個室でなければならず、「カーテンで仕切ればOK」といった簡易的なものでは認められません。私が初めてのサロンを出店したときにも、「ちょっとしたスペースにソファとカーテンで休憩場所を…」と考えていましたが、それはNGとのこと。保健所の立ち入り検査で指摘される可能性が高く、登録が通らなくなるケースもあるそうです。
でも、完全個室にすると…思わぬ落とし穴が
完全個室にすればルールはクリアできますが、そこで立ちはだかるのが空調や消防、建築の問題です。
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空調が効かない問題
個室にしたことで空気がこもり、夏はサウナ状態に。エアコンの増設や換気扇の設置が必要になり、追加工事費がかさむことに。 -
建築基準法や消防法への抵触
個室を増設することで避難経路をふさいでしまったり、天井高の基準を満たさなかったりすると、建築基準法や消防法に違反してしまう可能性があります。私も当時、内装業者から「これ以上個室を増やすと申請通りませんよ」と注意されたことがあります。 -
採光・換気の確保が難しい
個室にすると、自然採光や換気口の配置が問題になる場合も。保健所の許可が下りないケースがあるため、設計段階での十分なチェックが必要です。
休憩所を作らないという選択肢もあるが、注意点も
こうしたハードルの高さから、「もういっそ休憩所は作らない」という判断をするオーナーさんも多いです。実際、私も2店舗目以降は休憩所の設置を見送り、バックヤードをうまく使う形にしました。
ただしその場合、美容所内での飲食が一切NGになります。これは、衛生管理上のルールです。
「えっ、お客様にお茶を出すのもダメなの?」と驚かれる方も多いのですが、美容所内での飲食は原則禁止。お客様へのお茶出しも、保健所の指導対象になることがあります。
そのため、ちょっとした飲食スペースを確保する場合でも、美容所として登録しない“別の区画”である必要があります。
物件選びの段階から、休憩所の可能性を想定しておくべき
スタッフの働きやすさや、サロンの衛生環境を考えるうえで、休憩所の有無は大きなポイントになります。
たとえば「もともと個室がある物件」「採光・換気・空調の条件が揃っている」など、最初から休憩スペースに適した間取りの物件であれば、あとから頭を悩ませる必要もありません。
逆に、休憩所を設けるつもりでいたのに、物件契約後に「無理だった…」となってしまえば、スタッフからの不満が出たり、労務上の問題になるリスクも。
まとめ:サロン経験がある立場だからこそ、事前に伝えたいリアル
美容所の開業にあたっては、「集客」「メニュー設計」「内装デザイン」などに意識が集中しがちですが、休憩所の存在はスタッフの働きやすさや法的な適合性に直結します。
私自身、何度もサロンを開業・運営してきた中で、こうした“現場のリアル”に直面してきました。
「サロン賃貸+」では、実際に美容所を経営していた経験を活かして、こうした見落としがちなポイントも含めた物件選びをサポートしています。
物件の広さや構造によっては、そもそも休憩所の設置が難しいケースもありますし、「無理に作らない」という判断も正解になる場合もあります。
こんなこともあるので、サロン運営経験のある「サロン賃貸+」にご相談いただくのも、一つの選択肢としてご検討くださいね。
※本コラムの保健所の登録要件は弊社サロンの管轄地域での要件です。エリアによっては当てはまらない可能性もありますので、ご自身のエリアの登録要件を保健所にご確認ください。